子どもの遊びを整える

小学生になったら、おもちゃは卒業?―息子の”今”を見て気づいたこと

小学生になって少し経った頃、息子があまりおもちゃで遊ばなくなったことに気づきました。
理由は簡単で、学校が終えたあと友達と外遊びをするようになったから。

それまでは、帰宅後は私と一緒におもちゃで遊ぶのが当たり前だったけど、
今は、私と遊ぶ代わりに友達と遊び、残りの時間はSwitchやYouTubeにあてたがる。

学校や友達との遊びで、体も頭もフル回転させたあとに、テレビゲームや動画でリラックスしたくなる気持ちはよくわかるし、
友達と外で遊んでくれるようになって、正直、楽になったと感じている自分もいた。

だから、年齢的にも、こうしておもちゃから卒業していくんだろうと、どこかで納得しようとしていました。

……というか、おもちゃって実際いくつまで遊ぶものなんだろう?
自分の子どもの頃を振り返っても、いつ遊ばなくなったのか、もう思い出せない。

そんなとき、たまたま見かけたのが百町森さんのホームページ。
他のおもちゃ屋さんでは、対象年齢が「6歳」までの表示が多い中、ここでは“小学生向けのおもちゃ”というページもあった。
(作りかけの部分もあったけれど、それでも嬉しかった)

「テレビゲームやYouTubeだけにならない遊び」って、やっぱり理想だよなあ――。
そんなふうに、あきらめかけていた気持ちの奥で、もう一度小さく火がともった気がしました。

今、あらためて思う。
小学生になっても、おもちゃで遊んでいい。
「卒業」と「余白」のあいだで、わたしはもう少し、あがいてみたい。

なぜ”テレビゲームやYouTubeだけ”だと不安になるのか?

友達と外で遊ぶようになったのはいいけれど、家では前のようにおもちゃで遊ばなくなり、
テレビゲームやYouTubeが多くなりがちな現状…それがどうにも私の中でモヤモヤしていました。

子どもにとって楽しい時間だと思うし、親の私から見ても、学校や友達との関わりで疲れた頭と心を休める“癒し”のように感じるときもある。
だから、全否定したいわけではない。(この話は次で改めて触れたいと思う。)

ただ、それでもやっぱり「不安」はある。

提供されたコンテンツを、ただ見る・操作するだけの“受け身”の時間。
そればかりになってしまうと、

• 世界が狭くなってしまう気がする
• 自分で楽しいことを見つける力が育たないかもしれない
• 頭を使って考える時間が減ってしまいそう
• 強い刺激に慣れて、他の遊びをつまらなく感じるようになるかも

実際、強い刺激を長時間浴びることによる脳への影響(特に前頭葉)については、
いろんなところで問題提起されているし、私自身もしっかり理解しているわけではないけれど、
どこかで「大丈夫かな…?」と心配になる。

時間があっという間に溶けていく感覚。
画面を見続けているときの無表情。
視力のことや、言葉遣いの荒れ、ちょっとしたことでイライラする様子。

そんな一つひとつが、
「このままでいいのかな?」という小さな疑問として積もっていきました。

完全否定はしたくない|肯定したい気持ちと答えのない問いの間で

ここまで書いておいてなんだけど、私はテレビゲームやYouTubeを完全に否定したいわけではありません。

むしろ、息子が楽しんでいる姿を見ると、「これはこれでいい時間なんだよな」と思うこともあるし、
実は、私も夫もゲームに親しんで育った世代です。

子どもの頃からずっとゲームが大好きで、今でも息子と一緒にマインクラフトやマリオ系のゲームをやって、家族で笑い合っています。

最近『ドラクエ3』のリメイクに息子がハマってくれたときは、私たちが子ども時代に夢中になったゲームの話を、
今度は親子で語り合えるというのが、とても感慨深くて大いに盛り上がりました。

それに、最近よく耳にする「好きなことを伸ばそう」という教育観で言えば、
積み木が好きな子が何時間でも遊んでいれば「集中力がある」「創造性が育つ」と褒められるのに、
それがゲームだと、どれだけ集中していても“良いこと”とは見なされない。
この違いに少し違和感もある。

吸引力が強すぎて判断が難しいし、「やりすぎ」「中毒」「目が悪くなる」といった不安も、私自身よくわかっているけど、
たまたまその子にとって一番フィットしているのがゲームだったとしたら?
集中して取り組んでいるのに「やめなさい」と言われてしまうのって、少し不公平なのかもしれない。

積み木なら褒められて、ゲームなら制限される。
その違いを、子どもはどう感じているんだろう――
そんなことを、とりとめもなくぼんやり考えてしまうこともありました。

ただ、今のように“子どもひとりにゲーム一台”が当たり前になったのって、まだここ最近の話。
その環境で育った子どもたちが、将来どうなるのか。
私たちはまだ、それを見届けていないですよね。

正直、この問いについては、私の中でも答えはまだ出ていないし、
自問自答を繰り返しながら息子を見守っているのが現状です。

また、YouTubeについても、ただの「暇つぶし」ではなく、息子にとっては情報源になっています。
宇宙や動物、ゲームの豆知識など、興味を持ったことを自分なりに深めているようで、
おそらく学年でいちばんマインクラフトに詳しいのも、YouTubeで知ったことを実際に試しながら身につけてきた成果だと思います。

「好きなことは好きだ」と感じられる気持ちや、
「今これがしたい!」という主体的な気持ちは、大事にしてあげたい。

だから、「やめなさい!」と怒ってばかりの親にはなりたくないと思っています。
……とはいえ、約束の時間が守れないと、ついイライラしてしまうのが本音なのですが(笑)

さらに、正直に言えば、親としてゲームや動画に助けられてきた場面もたくさんあります。
雨で外遊びできない日の時間潰しになったり、帰宅後のクールダウンになったり、親の私が息抜きできたり。
振り返れば、それらはどれも“悪”ではなかった。

結局、私が本当に不安なのは、「それ“だけ”になってしまうこと」なんだと思う。

遊びの選択肢がひとつになってしまうのが、寂しい。
世界がぐっと狭くなってしまうようで、なんだかもったいない。

ゲームも、動画も、おもちゃも、外遊びも、読書も。
いろんな世界を知って、触れて、経験してほしい。

ただひとつだけ、今の私に言えるのは――
ゲームにも、YouTubeにも、魅力も学びもある。
でも、手を動かして、想像して、創り出していたあの時間を、もう少しだけ大切にしてあげたい。

その“余白”の中にこそ、子どもにしか持てない時間があるような気がするから。

「今の息子」を見つめ直して考えたこと

以前のようにおもちゃで遊ばなくなったなぁ。
それはたしかに感じるけれど、よく見てみると、まったく遊ばなくなったわけではない。
むしろ、“遊びのカタチ”が変化しているだけなのかもしれない。

たとえば最近、攻略本をじっくり読んだり、YouTubeで得た知識をクイズにして出題してきたり。
「ママにクイズ出すね!」なんて得意げな様子からは、インプットとアウトプットの楽しさをしっかり味わっていることが伝わってくる。

車移動中には間違い探しに夢中になり、
おうちではぬいぐるみとのごっこ遊びや創作漢字を作って遊んでいたり。
自分でゲーム画面を録画・編集している姿には、子どもなりの創作欲求も見え隠れする。

「もうおもちゃでは遊ばないのかも」と思っていた矢先、
突然トミカの街づくりを始めた日もあった。

もしかしたら、私が「YouTubeやゲームばっかりやってると自分で楽しいことを見つけられないよ」と
つい脅すような言い方をしてしまったのが影響していたかもしれないけど(苦笑)

それでも、ゲームや動画が使えない時間に、絵や字を書いたり、家族でボードゲームをしたりと、
彼なりに遊びを模索している様子を見ていると、私はふと思う。

——この子にとって、もっと夢中になれる“遊びの入り口”を、もう一度用意してあげたい。

それはもう、おもちゃだけではないのかもしれない。
けれど、手を動かし、想像し、創り出すことの楽しさは、きっと今も大切なことだと思う。

そして今だからこそ、息子の興味や性格を見つめ直しながら、
“今の彼に合う遊び”を、選びなおすタイミングなのかもしれない。

”今の子ども”に合うおもちゃを、もう一度選び直すということ

息子の「今」に合うおもちゃを探すため、ネットでいろいろと調べていたときに出会ったのが
「子どもの発育段階において与えるに相応しいとされる玩具の年齢別、種類別対応表」(日本玩具協会公式サイトより)という資料です。

この表を見ると、小学校低学年は未就学児の頃よりも遊びの幅がぐっと広がっていることがわかります。
むしろ、自分の興味関心をもとに「好き」を深めていく、”個性が育つ時期”ともいえそうです。

そんな絶好のタイミングに『もうおもちゃは卒業かな?』と思っていたなんて、なんとももったいない話。
百町森のホームページやこの分類表に触れて、「まだまだ遊びを見守れるし見守りたい」という気づきと希望が、私の中にも生まれました。

そこで、小学校低学年の子どもに合いそうな”おもちゃのジャンル”を、分類表をもとに整理してみたのが以下です。

聞くもの・見るもの

音楽や映像を“聞く・見る”だけでなく、「音を出す」「再現する」など“自分で関わる遊び”に発展。
音まね・朗読・実況・クイズなどの表現にもつながっていきます。

・絵本や児童書
・図鑑
・DVDや録画番組(アニメ・自然科学系など)
・ぬいぐるみ劇(見立て遊びとして)
・木琴、キーボードなど音を楽しむもの

ごっこ遊び

ストーリー性や役割分担が深まり、「学校ごっこ」「お店やさん」などテーマのある遊びを楽しめる時期。
会話力や想像力も育つ、まだまだ現役の遊びです。

・ぬいぐるみ
・人形
・ミニチュアアイテム(家具・家・お店など)
・お店屋さんごっこセット
・シルバニア、リカちゃん、ポポちゃん などの関連おもちゃ

運動を楽しむ

勝ち負けや記録を意識したチャレンジ系、チーム対抗のルール遊びが楽しくなる時期。
探検ごっこ、ボール運動、トレーニング系もおすすめ。

・なわとび
・ボール
・フリスビー
・ホッピング
・バランスボード
・ストライダーやキックボードなどの乗り物系
・折り紙
・あやとり
・けん玉
・こま

動くもの(乗り物・電動系など)

「見る・転がす」から「操縦・運転」「仕組みを理解して動かす」へ興味が移っていく時期。
プログラミングトイやギミック系のおもちゃにも惹かれるように。

・ラジコンカー
・電動トレイン(プラレールなど)
・プログラミングトイ(スフィロ、toioなど)
・電池で動くおもちゃ(掃除機やロボットなど)
・レールとギミックを組み合わせて動きを楽しむおもちゃ
・ビー玉コースターや仕掛け遊び系

組み立て遊び

工程の多いブロックや模型、説明書を見ながら作るタイプのものも楽しめるように。
完成させる達成感もこの時期の魅力。

・ブロック(LEGO、マグネット系など)
・積み木
・ギアパズル
・プラレールやトミカなどのレイアウト遊び
・建築系おもちゃ

ゲーム

記憶・戦略・読み合い・運・会話などを駆使するゲームで、より深い楽しみ方ができるように。
協力型や知識系、推理系などにも興味が広がる。

・ボードゲーム
・カードゲーム
・将棋・オセロ・チェス
・すごろく
・UNOやドブルなど、短時間で楽しめるゲーム

理科学玩具

“なぜ?”を体験しながら学べる玩具がぴったりの時期。
好奇心や探究心を刺激するきっかけに。

・磁石セット
・実験キット
・地球儀・星座盤
・ルーペ・顕微鏡(おもちゃタイプ)
・水ロケットやソーラー工作系

こうした分類は、一般的な発達段階に合わせたおもちゃ選びの目安としてとても参考になりますよね。
とはいえ、すべてのジャンルを網羅しなければならないわけではなく、一番大切なのは”その子自身をよく観察すること”だと私は思っています。

我が家の息子も、この表にあるジャンルすべてにハマっているわけではありません。
むしろ、表にはない「創作・表現系」とでも呼びたくなるような、新しいジャンルの遊び方が目立ってきました。

たとえば、このような“情報を使って表現する”遊び方です。

• 攻略本やYouTubeで得た知識をクイズにして出す
• 創作漢字を考える
• ゲーム実況を録画して編集する
• ぬいぐるみとごっこ遊びを楽しむ

もし上記の表に加えるならこんな感じでしょうか。

創作・表現

書く・描く・作る・演じるなど、空想と表現のリンクが強まり、「伝えたい」「作りたい」があふれ出す時期。

・お絵描きセット
・マンガ・イラストを描くためのノートやペン
・工作セット(ハサミ・のり・テープなど)
・動画編集アプリ(簡易的なもの)
・オリジナルクイズや創作漢字、自由帳

たとえ玩具協会の表には載っていなくても、息子にとっては今まさに夢中になっている大切な遊び方。
それを見逃さずに受け止めてあげたいと強く思いました。

だから私は「一般的な発達段階」をヒントにしながら、「この子に今、何が合うか」という視点で、
もう一度おもちゃ選びをしていきたいと思っています。

具体的なアイテムについては、また別の記事でご紹介する予定ですが、
こうした視点を持てたことで、一時は「もうおもちゃで遊ばないのかも…」と寂しさと、どこかモヤモヤした思いを抱えていた私の心に、また希望がわいてきました。

小学校低学年のおもちゃは”卒業”ではなく“見直し”のタイミングかも

「小学生になったしもうおもちゃでは遊ばないのかも」

そんな寂しさをまとめようと書きはじめた記事でしたが、調べていくうちに、
おもちゃから“卒業”するというよりも、「見直しのタイミング」だったのだと気づきました。

息子が興味を持つ対象や、心を動かされるポイントは、少しずつ変わっていく。
だから、同じおもちゃで同じように遊ばなくなるのは、むしろ自然なこと。
でもそれで終わりではなく、その変化に寄り添うように見直していけたらいい。

そのためには、やっぱり「目の前のその子をよく見ること」が、いちばん大切なんじゃないかと思います。

おもちゃ選びは、一度決めたら終わりじゃない。
子どもの興味や性格を見つめながら、何度でも“選びなおす”もの。

今回の気づきを心にとめて、もう少しだけ、子どもとおもちゃで遊ぶ時間を楽しんでみたいと思います。

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